業務委託の在宅ワーカーやブロガー、インスタグラマー、ハンドメイド作家など、個人で稼ぐ人も増えてきました。
最初はお小遣い稼ぎ程度ではじめたけれど、だんだん収益が上がってきたから開業届を出した方が良いのかな?と迷っている方もいるでしょう。
開業届を出したら確定申告をしなきゃいけないのかな…
扶養から抜けてしまうかも…
こんな考えで開業届を出すことをためらってはいませんか?
これからも自分で稼いでいくことを考えているのであれば、開業届を出すことで様々なメリットがありますよ!
この記事では、開業届を出すメリットや注意点、開業届に関する疑問点や出し方について解説します。
扶養内主婦でも基本的には開業届を出そう!
開業届とは、個人が事業を開始したことを税務署に届け出るための書類です。
開業届は事業を開始して1ヶ月以内に提出しなければならないと義務付けられています。義務とはいえ、提出しなかったとしても罰則などがないため、実際のところは開業届を出さずに活動している人もいるようです。
基本的にはお金を稼げるようになったら開業届を出すのがおすすめです!
なぜなら、開業届を出すことで以下のようなメリットがあるからです。
- 青色申告で控除が受けられる
- 青色申告で赤字が繰り越せる
- 事業用口座や事業用クレジットカードが持てる
- 保育園に入りやすくなる
- フリーランスと名乗れる
これらについては後ほど詳しく解説しますが、中でも最大のメリットは個人事業主になることで確定申告の際に青色申告が選択できることです。
青色申告を行えば最大65万円(条件を満たした場合)の控除が受けられ、大きな節税になるでしょう。
確定申告が必要でない方も、メリット・デメリットを見比べて開業届を出すことを検討してみてください。
扶養内主婦が開業届で迷うポイントについて解決!
扶養内で働いている主婦の方は、以下のような理由で開業届を出すか迷っていませんか?
- 利益が少ないから出さない方が良いのかな…
- 開業届を出したら確定申告をしなきゃいけないのかな…
- 開業届を出したら扶養から外れてしまうのかな…
これらの疑問について解決していきましょう!
疑問①利益が少ないから出さない方が良い?
今後継続して仕事を続けていくなら開業届を出しましょう。開業届を出すのに利益の多さは関係ありません。
開業届を出す必要がある個人事業とは、独立して継続的に行っている仕事のことです。
例えば、自分で作ったハンドメイド作品を1回売っただけであれば事業とはいえません。しかし、それを何度も繰り返して続けていけば事業になります。
自分がそれを仕事として続けていきたいと思うのであれば、利益が少なかったとしても早めに開業届を出しましょう。
また、開業届を出して確定申告の際に青色申告を選択することで、赤字が翌年以降に繰り越せるというメリットがあります。
初年度は利益より経費が上回って赤字だった→翌年、軌道に乗って利益が増えてきたというケース
初年度の赤字を翌年に繰り越すことで、翌年は節税ができる
疑問②開業届を出したら確定申告が必要になる?
確定申告は開業届の有無とは関係ありません。所得がフリーランスや専業主婦なら48万円、副業なら20万円を超えたら確定申告を行いましょう。
開業届を出したら確定申告が必須と勘違いしている方もいるかもしれませんが、開業届を提出しているかどうかと、確定申告が必要かどうかは関係ありません。
開業届を出していなくても、所得が一定以上であれば確定申告が必要
となります。
フリーランスや専業主婦などで稼いでいる方は所得48万円以上、副業の場合は副業所得が20万円以上あれば、確定申告が必要です。※所得=収入-経費
開業届を出していれば、確定申告で青色申告を選択して最大65万円(条件を満たした場合)の控除が受けられます。
確定申告が必須なら、開業届を出した方が節税になりお得といえるでしょう。
確定申告を行うと還付金が返ってくるケースもあるので、必須でなくても申告するのをおすすめします。
疑問③開業届を出すと扶養から外れる?
配偶者が加入している健康保険組合によって異なります。開業届を出す前に確認しましょう。
配偶者が加入している社会保険の扶養に入っている場合は、健康保険組合ごとの扶養の条件を確認するようにしてください。
基本的にはフリーランスの場合の扶養の条件は以下の通りです。
被扶養者(フリーランスの妻)の年間収入が130万円未満かつ被保険者(夫)の年収の2分の1以下
しかし、一部の健康保険組合では個人事業主になった途端に扶養に入れないというケースもあるようです。
開業届を出すことで扶養から外れる場合、自分で国民健康保険に加入して保険料を納めていかなければなりません。
扶養の条件については、各健康保険組合のHPなどに記載があるので確認しておきましょう。
ちなみに、私は社会保険加入パート→開業届提出という流れで扶養に入れなかった経験があります(泣)
フリーランスの扶養の詳しい条件や、私の失敗談について詳しくはこちらの記事をチェックしてみてください。
主婦が開業届を出して個人事業主になる5つのメリット
ここからは、主婦が開業届を出して個人事業主になるメリットについて解説していきます。
開業届を出すメリット
青色申告で控除が受けられる
個人事業主になる最大のメリットは、青色申告で控除を受けられて節税になることです。
確定申告には青色申告と白色申告の2つの方法がありますが、青色申告ができるのは個人事業主のみです。
青色申告者には様々な特典があり、その1つに所得金額から最大65万円の控除ができるという青色申告控除があります。
税金の計算の元となる課税所得金額から一定の金額を差し引くこと。控除が適用されると税金が安くなる。
<例:課税所得金額150万円のときの所得税の金額>
- 白色申告で控除なしのケース
150万円(課税所得)×5%(税率※)=7万5000円(所得税の金額)
※所得税の税率は、課税所得金額が194万9千円以内のとき5%
- 青色申告控除を使って65万円控除したケース
85万円(課税所得)×5%(税率)=4万2500円(所得税の金額)
青色申告を行うことで、3万円以上の節税になる!
所得税だけでなく住民税も節税できるので、青色申告控除の節税効果は抜群です。
青色申告で赤字が繰り越せる
さらに、青色申告者だけの特典には「最大3年間赤字が繰り越せる」ことがあります。
その年が赤字だった場合、翌年以降その赤字の金額を繰り越して利益から相殺できるという特典です。
翌年以降に事業が軌道にのって利益が多くなってしまっても、繰り越した赤字分を相殺することで節税ができます。
まだ利益が多くないときから開業届を出して、青色申告での確定申告を行う方が賢いといえるでしょう。
事業用口座やビジネス用クレジットカードが持てる
個人事業主の場合、屋号を名義とした銀行口座が開設できます。
事業で取引先やお客様に本名を知られたくない場合など、屋号が名義の銀行口座があると便利です。また、プライベートの口座と事業の口座を分けることで確定申告の作業がしやすくなります。
そのほか、個人事業主向けのクレジットカードなども申し込みができるようになります。クレジットカードの特典などが利用できるのもメリットといえるでしょう。
保育園に入りやすくなる
今まで専業主婦や短時間のパート主婦だった方は、開業届を出すことで自営業として働いている証明ができ保育園に入りやすくなるといえます。
自治体によっては、開業届の控えのほか、確定申告の書類の控えやクライアントとの仕事のやり取りが証明できる書類などが必要になる場合があります。
保育園の選考で必要な書類は自治体によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
フリーランスと名乗れる
開業届を出すメリットの1つとして、堂々と「フリーランスです」と名乗れることが挙げられます。
今まで副業や趣味として取り組んでいた人なら、開業届を出すことでフリーランスとして自分で稼いでいく決意を新たにできるでしょう。
クライアントによっては副業ではなく専業フリーランスとして働いている人を選ぶケースもあり、仕事の獲得にも繋がるでしょう。
開業届を出すとフリーランスとして独立したぞ!頑張っていくぞ!という気持ちになります。
主婦が開業届を出すデメリット
主婦が開業届を出すことでさまざまなメリットがある一方、デメリットといえる部分も存在します。
事前に確認しておきましょう。
開業届を出すデメリット
開業届を出すと扶養から外れる可能性がある
前述の通り、開業届を出すと配偶者の健康保険組合の扶養から外れる場合があります。
配偶者の加入している健康保険組合の扶養の条件をよく確認してから開業届を出すようにしましょう。
フリーランスの扶養について、以下の記事で詳しく解説しています。
失業手当を受け取れなくなる
雇用保険に加入していた退職者が受け取れる「失業手当」は、次の仕事を探す間の生活の安定のための支給されるお金です。
開業届を出して個人事業主になった場合、再就職の意思がないとみなされて、失業手当を受け取れなくなります。
ただし、失業手当を受給中なら個人事業主になることで「再就職手当」を受給できます。ハローワークで条件などを確認しておきましょう。
帳簿付けの手間がかかる
個人事業主として事業を行っている人は、売上や経費などを帳簿に記録しなければなりません。
平成26年以降は、青色申告者だけでなく白色申告を行う個人事業主も帳簿を付けることが義務付けられています。
さらに、青色申告で65万円の控除を受けるには、複式簿記による帳簿付けが必要です。節税になるメリットの一方で、手間がかかるというデメリットがあるといえるでしょう。
私は会計ソフトを使って帳簿付けを行っています。やり方を一度覚えれば難しいものではありませんよ!
開業届の提出の手順・提出のタイミング
ここからは、開業届の提出の仕方や提出のタイミングについて詳しく解説していきます。
開業届を提出するタイミング
開業届は、事業を開始した日(開業日)から1カ月以内に提出しなければなりません。
ただし、既に事業を始めてから1ヶ月以上経ってしまったという場合でも、開業日を開業届を提出する日の1ヶ月以内に設定すればOKです。
開業届を提出するのが遅くなってしまっても、罰則などはありませんので安心して提出してください。
開業届の提出の手順
開業届の提出の手順は以下の通りです。
- 必要書類を準備する
- 開業届を税務署に提出する
- 控えを保管しておく
開業届の提出は「開業freee」がおすすめ!ネット上で開業届がサクッと作れます。
必要書類を準備する
開業届は、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。下記の国税庁のHPからダウンロードして必要事項を記入しましょう。
開業届のほか、マイナンバーが確認できる本人確認書類も必要です。税務署に行く際に持参しましょう。郵送の場合には「本人確認書類(写)添付台紙」を利用してコピーを提出します。
【本人確認書類とは】
マイナンバーカードを持っている人→マイナンバーカード
マイナンバーカードを持っていない人→マイナンバーを確認できる書類(住民票の写しなど)+本人確認書類(運転免許やパスポートなど)
開業届を税務署に提出する
開業届の提出先は、自宅の住所地を管轄する税務署です。国税庁のHPでも自宅の住所地を管轄する税務署を調べることができます。
提出方法は以下の3つがあります。
提出方法 | 詳細 | 注意点 |
---|---|---|
税務署に持参 | 税務署に開業届を持参する | 平日の8:30〜17:00の受付 |
郵送 | 提出先の税務署宛に開業届を郵送する | 控えを返送してもらうための返送用封筒の同封が必要 |
e-Tax(電子申告) | パソコンから届出書を作成して提出する | 事前にe-Taxソフトや利用者識別番号の準備が必要 |
ちなみに私は郵送で提出しました!
控えを保管しておく
開業届の控えは、個人事業主であることを証明する重要な書類です。提出した後もらえる控えは大切に取っておきましょう。
開業届の控えが必要になる場面は以下のようなケースです。
- 事業用の口座の開設
- 小規模企業共済への加入
- 給付金や補助金の申請
- 保育園への就労証明
開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を提出しよう
青色申告をする際は、「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
開業届を出した後に提出することもできますが、開業日から2ヶ月以内の提出が必須のため、同時に提出しておくとスムーズです。
国税庁のHPからダウンロードして必要事項を記入し、提出しましょう。
開業freeeなら無料で簡単に開業届が作れる
開業届や青色申告承認申請書を作成する際に
記入の仕方がわからない…
書類をダウンロードするのが面倒…
という方もいると思います。そこでおすすめなのが「開業freee
無料の会員登録をするだけで、面倒な開業届や青色申告承認申請書の作成が簡単にできます。
下記のようにステップに沿って回答していくだけで正式な開業届が完成するので、最後はそれを印刷もしくはe-Taxで税務署に提出するだけです。
青色申告承認申請書もこんな感じでチェックを入れるだけでまとめて自動で作成してくれます!
私もfreee開業を使って開業届を提出しました!
メールアドレスとパスワードを入力するだけの簡単な会員登録で無料で利用できるので、ぜひ使ってみてください!
扶養内主婦でも早めに開業届を出そう!
今回は、扶養内主婦の開業届の必要性について解説しました。税金面でのメリットが大きいため、扶養内で働く場合でも早めに開業届を出すのがおすすめです。
開業届は書類を提出するだけなので簡単にできます。
書類の作成も「開業freee」なら無料ですぐ作れるのでぜひ利用してみてください。